Cultural assets scientific research center
一般社団法人 文化財科学研究センター
Natural chemical analysis
自 然 科 学 分 析
-はじめに-
分析には、大学の古生物学研究室の技術に加え、より高い精度を求められる臨床検査技術を取り入れて行っています。
Pollen 花 粉
-花粉分析-
花粉分析は、湖沼や湿原などを対象に自然科学の分野では古くから行われ、森林変遷などの植生復原および古気候の推定などに用いられます。
考古遺跡では、遺構の覆土や埋没土壌を対象としています。分析によっては遺跡とその周辺の植生復原を行い、また農耕や遺跡の衰退、古墳など大規模な遺構構築に伴う植生変遷(人の手によって自然に変化が起こるなど)などを復原します。また、場合によっては花粉組成に季節性が反映されることもあり、遺物の埋没季節の検証を行うことも可能となります。
Helminth eggs 寄 生 虫 卵
-寄生虫卵分析-
人体の内部に寄生する扁形動物・線形動物のうち、消化管寄生をして糞便中に排卵する種(回虫卵、鞭虫卵、吸虫卵、条虫卵など)を対象に分析します。風土病とも言われる寄生虫の宿主特異性と発育史から食性や習慣、衛生状態の程度などを推定することが可能です。
また、トイレ遺構の検証が行え、不明土坑などの遺構の性格を類推や、農耕における人糞施肥の可能性も示唆されます。
Diatom 珪 藻
-珪藻分析-
珪藻は、珪酸質の被殻を有する単細胞藻類で、多くの場合世界中のどこにおいてもよく似た生態的特徴を示す世界普遍種です。その生活様式は浮遊性と付着性(底生)に大別でき、熱帯から寒帯、海水域から淡水域、清浄水域から極端な汚濁水域、強酸性から強アルカリ性水域までありとあらゆる水域に広く出現します。
堆積物の分析から、川や湖、海などの水域やその周辺の湿性地などの堆積環境や古環境復原の指標に利用されます。
Seed 種 実
-種実同定(炭化物を含む)-
植物の種子や果実の分析試料には遺構から採取した堆積物と水洗選別で抽出したものがあります。種レベルまで同定できるものが多く、栽培植物の種類や植生について有用なデータを提供することができます。
また、木材とともに種実は微細な植物遺体よりも移動性が小さいため、比較的狭い範囲の植生復原が可能です。栽培植物や有用植物の同定から、当時の農耕や食生活を明らかにします。
Arboreal 樹 木
-樹種同定(炭化物を含む)-
木材は解剖学的形質から属レベル(一部は種レベル)まで同定を行うことができます。また炭化材では落写顕微鏡を用いた同定が可能です。樹種同定によって、人々が用いた建築部材や木製品の用材、さらには地域ごとの木材利用の様相などを明らかにすることができます。また流木や埋没木などの自然木の同定では、遺跡周辺の森林植生の復原が可能です。
なお、木製品などの貴重な試料については担当者が現地へ赴き、必要最小限の切片採取を行いますので、ご相談ください。(炭化材は切片採取ではありません)
Plant opal
植 物 珪 酸 体
(プラント・オパール)
-植物珪酸体分析-
植物珪酸体は、植物の細胞内にガラスの主成分である珪酸(SiO2)が蓄積したもので、植物が枯れた後も微化石(プラント・オパール)となって土壌中に半永久的に残っています。
これまでイネをはじめとするイネ科栽培植物を中心に研究が行われ、水田跡の探査や確認等に応用されて大きな成果をあげています。また、重要な畑作物であるヒエ、アワ、キビ、ムギ、モロコシ、ハトムギ、トウモロコシなどの同定も行われ、農耕史の研究に役立てられています。植物珪酸体はイネ科の草本類をはじめブナ科やクスノキ科などの樹木葉でも形成され、草原植生および照葉樹林などの森林植生の復原にも応用されています。今後の研究の進展によって分析の対象はさらに増加すると考えられます。
-動物遺存体-
準備中
Faunal remains
動物遺存体
Particle-size 粒度
-粒度分析-
粒度分析により堆積物の生成などを調べ、堆積層の遺構などの性格を明らかにします。植物遺体や各分析と総合化すればさらに詳細な解析を行うことができます。
Additionally analysis そ の 他 分 析
・ 微粒炭分析
・ 塗膜分析
・ 放射性炭素年代測定
・ 調査・サンプリング